後遺障害事例

事故による味覚障害

交通事故での味覚障害の原因

味覚の障害の原因

交通事故では、舌の障害、顎周辺組織の障害を原因として味覚障害は発症しています。
さらには、頭蓋底骨折や頭部の外傷後の高次脳機能障害でも味覚障害は認められています。

味を感じる経路は、

①味物質の味蕾への到達→②味蕾での知覚→③中枢への伝達

の順番にたどられるために、この経路の器官に障害が起こると味覚障害が起こります。

交通事故においては、舌や顎周辺組織の損傷を原因とすることもありますが、原因として圧倒的に多いのは、中枢への伝達障害、すなわち頭蓋底骨折や頭部外傷あとの高次機能障害が原因であることが予想されます。

 

味覚のしくみ

味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味の基本4要素からなるといわれていましたが、最近では旨味を加えて基本5要素としています。

味覚を感じる器官は、味蕾(みらい)と呼ばれます。そのほとんどは舌の表面の4つの舌乳頭のうち糸状乳頭以外の、舌の付け根の有郭乳頭、舌奥の縁部の葉状乳頭、舌先上面の茸状乳頭に存在しますが、舌以外の口腔内(軟口蓋、咽頭蓋、咽頭)にも存在し、味覚の感知に関与しています。

複数の味細胞が集まって形成される味蕾ですが、味細胞は味神経につながっていて、味細胞上端の微繊毛の部分に味物質が作用すると味神経を介して脳にシグナルが送られて味が認識されます。

これらの味覚を司る神経は、舌の部分により異なっています。茸状乳頭のある舌の前側3分の1は顔面神経、葉状乳頭や有郭乳頭のある舌の後ろ側3分の2部分は舌咽神経、咽頭蓋や咽頭部分は迷走神経にそれぞれ支配されます。これらの神経は延髄を経て脳へ味覚の情報を伝えます。このうち舌咽神経がもっとも大きな役割を担っており、味蕾の数の多い舌後~舌奥と合わせた領域が「味に敏感」な部分と言えます。

以上のように味覚を司る神経の脳への伝達障害が起きると味覚障害が起こることが分かります。交通事故による頭蓋底骨折や頭部外傷あとの高次機能障害が味覚障害の原因であることが十分に予測できるのです。
また味覚と嗅覚は、風味といわれる通り、密接に関連していることが報告されており、嗅覚が低下することにより、味覚にも変化が生じています。味覚障害の立証と合わせて嗅覚障害も立証する必要があります。

味覚の後遺障害と等級

味覚の後遺障害には脱失と減退の2種類のレベルがあり、それにより等級の認定が異なります。

味覚脱失

味覚の4つの基本味質の甘味・塩味・酸味・苦味のすべてがわからなくなってしまった場合には、味覚脱失と評価されて12級が認定されます。

 

味覚減退

基本の4味質のうち、1種類以上がわからなくなってしまった場合、味覚減退と評価されて14級が認定されます。

 

立証方法

味覚障害を他覚的に立証するためには、ろ紙ディスク法と電気味覚検査の2種類の検査方法があります。

ろ紙ディスク法

味覚障害を他覚的に立証する方法としてろ紙ディスク法の最高濃度液検査があります。

これは、甘味、塩味、酸味、苦味の4つの基本となる味のついた、ろ紙を舌の特定の部位ににおいて味質の障害の程度と障害が起きている箇所を見る検査法です。

薄い味のグレード1から検査が行われ、正答が得られない場合は濃い味のグレードへと、味質と検査を行う舌の箇所を変えて行います。

 

グレード

1

2

3

4

5

甘味 S

精製白糖

15mg

0.3%

125mg

2.5%

500mg

10%

1000mg

20%

4000mg

80%

塩味 N

塩化ナトリウム

15mg

0.3%

62.5mg

1.25%

250mg

5%

500mg

10%

1000mg

20%

 

酸味 T

酒石酸

1mg

0.02%

10mg

0.2%

100mg

2%

200mg

4%

400mg

8%

苦味 Q

塩酸キニーネ

0.05mg

0.01%

1mg

0.02%

5mg

0.1%

25mg

0.5%

200mg

4%

検査の結果が、4つの味でグレード1~3を検知出来れば、味覚認知は基準範囲内です。
この検査により、「異常を感じる味質は決まっているのか?」「舌の特定の部位で障害が起きているのか?」の情報を得ることができます。

 

電気味覚検査

舌の味覚神経領域に微量な電流で刺激して味覚を感じる閾値を測定します。
電気味覚検査では障害が生じている部位を特定できるほか、電流の大きさを調節することでどのくらい味覚が損なわれているのか判断するための情報を得ることができます。

 

併せて行う嗅覚障害の立証

交通事故による頭部外傷後の高次脳機能障害であっても、味覚障害は、ほとんどが減退の14級レベルです。

ましてや高次脳機能障害では、被害者が味覚や嗅覚の異常を訴えることは、ほとんどありません。

というのも、障害を受けていても記憶が補正してしまい、カレーライスの臭いや味が分からなくても、記憶だけで美味しいと感じてしまうからです。

 

頭部外傷後の高次脳障害によって嗅覚、味覚などの障害は、その多くは家族や周囲の気づきによって発見されます。

例えば

・漬物やお浸しに、異常とも思えるほど醤油をかける?

・最近、母の料理は味が濃くなって食べられない? 

などといった普段と違う行動がないか、注意深く観察を続けなければなりません。

 

このような行動がみられる場合の多くは、嗅覚の脱失の影響を受けているものと予想しています。

したがって、同時に、嗅覚障害の立証を行うことを忘れてはなりません。

嗅覚の脱失障害はT&TオルファクトメーターとアリナミンPテスト立証されます。

静脈注射のアリナミンPテストでは嗅覚減退は立証が難しいのですが、嗅覚脱失を判定することはできます。

T&Tオルファクトメーターでは「どんな臭いが?どれくらい臭わなくなったか?」の細かなレベルの検査が受けられ、基準値以下で嗅覚脱失や華呼吸が困難なものは12級、嗅覚が減退した場合は14級、もしくは非該当を判定することができるのです。

 

交通事故での後遺の味覚障害の立証をおこなう場合、医師による適切な検査による検証を受ける必要があります。症状によっては嗅覚障害の立証などあわせて行う必要がある場合もあります。

アジア総合法律事務所では、後遺障害の申請について豊富な実績と経験があります。福岡をはじめとして、全国各地からご相談を受け付けております。適切な後遺障害認定を受けるため、まずは弁護士法人アジア総合法律事務所にご相談ください。

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