後遺障害事例

変形性肘関節症(へんけいせいちゅうかんせつしょう)

1(1)変形性肘関節症とは?

肘関節は、上腕骨(じょうわんこつ)、橈骨(とうこつ=親指側の骨)、尺骨(しゃっこつ=小指側の骨)から構成されます。肘関節はこの3つの骨が組み合わさって作られています。  肘関節を形成している骨の先端は、軟骨に覆われており、この軟骨が衝撃を緩和するクッションのような役割をしています。しかし、この軟骨がすり減ると、肘に痛みを感じたり、骨と骨がぶつかり合って「骨棘(こっきょく)」※1ができるなどの症状が出ます。  変形性肘関節症とは、肘関節を構成している軟骨が変形してしまう疾患のことをいいます。

※1「骨棘(こっきょく)」とは?
文字通り、骨がとげのようになる症状です。骨棘ができると、骨に出っ張りができるため、体を動かす際に引っ掛かりができてしまいます。そして、それが進行すると骨棘が折れてかけらとなり、関節内に遊離してロッキング※2の原因となります。
※2「ロッキング」とは? 
急にある角度で肘が固まって動かなくなる状態のことです。この状態で少しでも動かそうとすると激痛が走ります。

(2)症状

軟骨がすり減って滑らかな動きができにくくなると、肘関節の痛みが生じてきます。
また、壊れた軟骨等のかけらによって関節の内側にある滑膜に炎症が起こったり、水(関節液)が溜まって腫れ上がることもあります。
そして、変形性肘関節症を放っておくと、肘の変形が進むことで可動域制限が発生し、食事をする、服を着る、顔を洗う、髪をとく、お尻を拭く等、肘を十分に曲げ伸ばすという日常生活動作が困難になります。
さらに、肘の変形によって発生した骨棘が尺骨神経を圧迫することで、手の力が入りにくくなったり、小指と薬指にしびれを感じたり握力が低下することもあります。

2(1)交通事故による原因は?

交通事故によって変形性肘関節症が発症する原因は、脱臼(肘関節脱臼)や骨折(上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折、橈骨頚部骨折、肘頭骨折)です

(2)変形性肘関節症と特定する要素、認定に必要な材料について

変形性肘関節症と特定するには、しびれや骨棘の存在を見逃さないことが必要です。
具体的には、肘関節部のXP撮影、3DCT画像、MRI撮影によって変形性を具体的に立証します。XP画像では、肘関節の変形だけではなく、骨棘形成、関節の隙間が狭小していることによって軟骨が擦り減っていることを確認することができます。XP画像によって骨棘が認められる場合には、変形性肘関節症が確定診断されているケースが多いです。
また、肘関節の可動域制限で、機能障害としての後遺障害獲得を目指します。
後遺障害等級としては、8級6号、10級10号に該当する場合がみられます。
肘関節が人工骨頭や人工関節に置換されたときには、ほとんどの場合10級10号が認定されています。
※8級6号
1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの(用を廃するとは、関節が完全に強直したものや、人工関節に置き換えたものをいいます)
※10級10号
1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(激しい障害とは、患側の可動域が健側の1/2以下に制限された状態をいいます)

 (3)治療

初めは、保存的治療を選択されます。
・肘を動かさないよう安静にする
・非ステロイド系坑炎症剤の処方
・患部を温めるホットパックやオクシップ、電気・超音波器具での温熱療法
・肘のストレッチ、水中運動
・肘周辺の筋力アップのためのリハビリ
・肘の不安定性がみられる場合には、サポーターなどの装具療法
・鎮痛剤、局所麻酔、ステロイド剤等の注射
 保存的治療が有効でなく、日常生活動作に不自由を来たすような場合には、手術的治療が選択されます。
・関節遊離体摘出術、肘関節形成術、人工肘関節置換術

 

3 後遺障害等級認定後の症状変化における注意点

後遺障害として等級が認定された後、示談交渉に入った場合において、「今後、裁判上、裁判外を問わずなんら異議申し立て、請求をしません」という示談書(免責証書)を交わすことがよくあります。
ところが、変形性肘関節症の原因となる肘関節脱臼や上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折、橈骨頚部骨折、肘頭骨折の傷病名で、可動域制限をもとに12級6号が認められている場合において、骨癒合の状況から近い将来変形性肘関節症に発症する可能性が認められる場合もあります。
そこで、上記場合には、「今後、被害者に本件事故が起因する変形性肘関節症が発症した場合には、別途協議する」という条項を加えておくことで、症状変化にも対応できるようにしておく必要があります。

 

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