後遺障害事例

脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)

1.脊髄空洞症とは

交通事故に遭ったとき、「脊髄空洞症」という症状が問題になることもあります。

脊髄空洞症は、脊髄の中心部に脳脊髄液がたまって空洞ができてしまい、脊髄を内側から圧迫するために、さまざまな神経症状が生じる病気です。

発症には男女差も年齢差もなく、あらゆる人に見られます。

 

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頚髄に発生することが多い症状で、当初は上肢や手の痛みや感覚障害が起こります。空洞が大きくなると、手や腕のしびれ、筋萎縮、歩行障害などが起こり、排尿や排便の障害が発生することもあります。

 

上肢の感覚障害では、温痛覚(温度や痛みの感覚)はなくなったり薄くなったりしますが、触覚と振動覚・位置覚(こういったものを「深部感覚」と言います)は維持されるという特徴があります。このことを「解離性感覚障害」と言います。

たとえば、腕をつねられたときや傷をしたとき、「触られた」「傷ついた」という感覚はあっても痛くなかったり、火傷をしたのに熱さを感じなかったりするので、危険です。

空洞が延髄に及ぶと「延髄空洞症」となりますが、こうなると、顔面に感覚障害が発生したり、嚥下障害が起こったりします。すると、食事の際に飲み込みにくくなったり、水分が気管に入って誤嚥が発生したりします。

 

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2.脊髄空洞症の分類

空洞が発生する詳しい仕組みについてはわかっていないこともありますが、脊髄空洞症は、いくつかのパターンに分類されます。 以下で、代表的な2つのパターンをご紹介します。

 

2-1.キアリ奇形に伴う脊髄空洞症、

アーノルド・キアリ奇形という奇形により、脊髄空洞症が発生するパターンです。アーノルド・キアリ奇形とは、小脳の下端が脊椎の方向へと垂れ下がるようにして、めり込んでくる奇形で、単に「キアリ奇形」と呼ばれることが多いです。

キアリ奇形では、生まれつき、後頭部の奥に位置する小脳が、脊髄の方へと下方に落ち込んでいる「小脳扁桃下垂」が特徴的です。MRIで確認することができます。

 

キアリ奇形による脊髄空洞症の場合、先天的な要因ですから、交通事故との因果関係は完全に否定されます。

症状は、片手の痛み、温度の感覚の鈍麻、やがて両手に力が入らなくなることです。

症状はゆっくり進行しますが、治療せずに放置すると、約半数の患者において、20年以内に下肢に麻痺が進行します。すると、車椅子が必要な状態になり、直ちに外科手術が必要となります。

 

手術の方法は、大後頭孔拡大術です。

大後頭孔とは、頭蓋から脊柱管に移る部分のことですが、この空間を手術によって拡大すると、髄液の流れを良くすることができるので、症状が改善します。

キアリ奇形では、本来頭蓋内に収まっているべき小脳が、大後頭孔から脊柱管に下垂しているので、このオペが有効となります。術後、大多数のケースでは、1ヵ月ほどで空洞が縮小して症状も改善します。

 

また、空洞短絡術という手術もあります。これは、脊髄空洞内に細いチューブを挿入して、空洞内にたまった水分を、他に流すものです。空洞内の水は、カテーテルを使って、くも膜下腔に流す方法が一般的ですが、腹腔部や胸腔部へと流すケースもあります。この手術は、比較的簡単で、有効性も高いです。

 

日本の脊髄空洞症に関する外科手術の第一人者は、阿部俊昭主任教授という方です。

アジア総合法律事務所でも、脊髄空洞症の方には、阿部教授のおられる慈恵医科大での手術をお勧めしています。

 

亀田京橋クリニック 脊髄空洞症外来

医師 阿部 俊昭 東京慈恵会医科大学脳神経外科名誉教授

東京都中央区京橋3丁目11号 東京スクエアガーデン4

毎月第一木曜 14:00-16:30

電話予約センター 03-3527-9201(受診の際、予約が必要です。)

 

2-2.外傷後脊髄空洞症

これは、外傷によって、脊髄空洞症が発症するパターンです。交通事故が原因で脊髄空洞症になった場合も、外傷後脊髄空洞症になるケースがあります。

損傷を受けると髄膜癒着が起こるので、脊髄の係留や髄液の環流障害が発生することが関係していると言われています。

交通事故後、脊髄空洞症が発生したときに、MRI画像によってキアリ奇形ではないと判明すると、外傷によるものと考えられるため、後遺障害が認定される可能性があります。これまでに、後遺障害910号が認定された事例があります。

 

症状の内容や程度は、空洞の大きさ、長さによってさまざまです。

 

外傷後脊髄空洞症で有名な医師は、芝啓一郎先生という方です。

名称  独立行政法人 労働者健康福祉機構 総合せき損センター

所在地 福岡県飯塚市伊岐須550-4

TEL   0948-24-7500

病院長 芝 啓一郎

 

参考となる症例について

芝先生は、平成19年に「整形外科と災害外科56」において、頚椎症性脊髄症による脊髄空洞症についての論文を発表しておられます。

そこで紹介されていた事例が、交通事故後遺障害認定の参考になります。

その事例では、医師は、両前腕痛、四肢の痺れ、歩行障害がある85歳の男性に対し、脊髄圧迫による髄液環流障害による脊髄空洞症と診断しています。

そして、空洞自体の処置はせず、C37の頚椎椎弓形成術を実施しています。

http://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/56/4/623/_pdf/-char/ja/

 

MRI所見を見ると、C4/5では後方から、C5/6では、前方からの高度な圧迫があることがわかります。そして、C3/4/5の後ろの脊髄に空洞症があります。 キアリ奇形(小脳扁桃下垂)はありません。

そして、この事例では、空洞自体の処置は行わず、C37の頚椎椎弓形成術を行ったところ、空洞が消失しています。除圧手術のみにより、空洞が消失して、両前腕痛は軽快し、歩行障害も改善しているのです。

空洞処置をしていないのに、頸椎の処置をしただけで回復したということですから、圧迫の原因は、頸椎脊髄症(変形性頸椎症)だったということです。

本件は交通事故によるものではありませんでしたが、もし事故が原因で同じような症状があったなら、後遺障害は82号か117号相当となります。

 

3.治療方法

感覚障害などの各種の症状には、基本的に薬剤によって対症療法をしますが、空洞が大きくなっている場合などには外科手術が必要です。

「キアリ奇形」に伴って脊髄空洞症が発症しているときには、「大後頭孔減圧術」という外科手術を施します。この手術は、頭から首にかけての部分で、脊髄近辺の空間を拡大し、髄液の流れをよくするものです。多くのケースにおいて、空洞が縮小するので、症状が軽くなります。

症状がある程度進行してしまうと、手術も有効にならない場合が多いので、早めに病院に行き、治療を開始することが重要です。

 

4.脊髄空洞症における後遺障害のポイント

4-1.キアリ奇形のケース

キアリ奇形に伴う脊髄空洞症と診断された場合には、後遺障害の獲得はほとんど不可能です。

それまで自分ではキアリ奇形であることを知らなかった場合であっても、それは、交通事故をきっかけとしてキアリ奇形が発見されただけのことです。交通事故が原因でキアリ奇形になったのではありませんから因果関係がなく、後遺障害が認定されません。

ただこの場合、放置すると、将来歩けなくなって車椅子になることも予想されますから、早めに専門医を受診して治療を受ける必要があります。

 

4-2.キアリ奇形ではないケース

検査の結果、キアリ奇形ではなく、外傷後脊髄空洞症であった場合には、交通事故が原因である可能性が高いので、後遺障害認定を目指しましょう。

事故後、空洞がかなり大きくなっているときや長くなっているときには、外科手術が必要です。

空洞が小さくなり、長さも短くなっているときには、保存療法を選択して経過観察します。

 

4-3.後遺障害の証明方法と等級

交通事故後遺障害としての脊髄空洞症の証明のためには、まずはMRI画像が重要です。

それとともに、片手の痛み、温感の鈍麻、両手の握力の低下などの神経症状を丁寧に拾い上げて、医師に後遺障害診断書と脊髄症状判定用の書類を作成してもらい、立証します。

後遺障害の等級については、神経障害の場合には910号、3椎以上の脊柱管拡大形成術を受けて神経障害がなくなったときには82号か117号が認定されます。

 

 

 

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