後遺障害事例

むち打ち症(外傷性頚部症候群)

1、むち打ち症とは
むち打ち症とは俗称です。人体に強い衝撃が加わり、頭部と胴部が異なる方向に急激に動いたこと等を原因として、頸部、肩部等に痛み、重み、痺れなどの症状を生じる場合を総称しています。医学的には、頚椎捻挫、頸部挫傷、外傷性頸部症候群、外傷性神経根症などの診断名で表現されます。

 

 

2、基本知識としての背骨の構造

(1)脊椎
「脊椎(せきつい)」とは、一般に「背骨」と俗称される部分をいいます。尚、「脊柱(せきちゅう)」という名称も、「背骨」と同じ意味に使われています。

(2)椎骨
脊椎を構成するひとつひとつのブロックが「椎骨(ついこつ)」です。人間の脊椎は、33個の椎骨で構成されています。

(3)椎間板
ブロックである椎骨と椎骨の間には、「椎間板(ついかんばん)」という弾力のある軟骨が挟まっており、クッションの役目を担っています。

(4)椎間関節
「椎間関節(ついかんかんせつ)」は、上下の椎骨をつなぐ関節部分です。この部分は、関節包(※)につつまれ、「椎間板」、「靱帯(じんたい)」、「筋肉」が骨と骨を連結しています。
(※)骨の周りを覆う膜を「骨膜」と言い、関節包とは、関節部分を覆う骨膜です。

(5)頚椎
「頚椎(けいつい)」は、脊椎のうち、頭を支えている部分です。7つの椎骨で出来ています。一番上の椎骨を「環椎(かんつい)」、二番めの椎骨を「軸椎(じくつい)」と言います。下の図を見ていただくと、環椎がいわゆる「輪っか」状となり、軸椎の突起部分が「輪っか」の中に軸のように入っていることが理解できると思います。この2つのパーツの組み合わせは、頭部を左右に回転させる役割を担っており、最も大きい動きが可能となる仕組みです。

【7個の椎骨からなる頚椎の図】
1-1

(6)脊髄

「脊髄(せきずい)」は、平たく言えば、脳から連なる神経の幹です。各椎骨の中には「椎孔(ついこう)」という穴があり、並んだ椎骨の椎孔が作るトンネルを「脊柱管(せきちゅうかん)」と言います。脊髄は、この脊柱管の中を走っています。

(7)神経根

脊髄から直接に枝分かれした神経を「神経根」といいます。神経根は、椎骨と椎骨の間にある「椎間孔」(ついかんこう)という空洞を通過して、身体各部の神経とつながり、私たちの身体をコントロールしています。

 

 

3、むち打ち症の典型例

後部から追突を受けるなどの衝撃によって、頚椎部分が、急激に、過度に伸びたり、曲げられたりという状態となります。これによって、頚椎部分を構成している、関節包、椎間板、靱帯、筋肉の一部が引き伸ばされてしまったり、断裂してしまったりすること(その場合、神経根の損傷を伴うこともあります)が、典型的な、むち打ち症の原因です。

 

 

4、後遺障害と等級認定

(1)後遺障害

後遺障害とは、治療により、傷害が治ったが、何らの支障が身体に残ってしまった場合を言います。自賠責保険では、その程度によって後遺障害を1級から14級までの等級に分類し(自動車損害賠償保障法施行令「別表第一」及び「別表第二」)、その等級に応じて、慰謝料額や労働能力喪失率を定めています。

(2)等級認定

等級認定とは、後遺障害の等級を認定する手続で、認定する機関は、損害保険料率算定機構という団体です。同機構は、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基いて設立された公的な団体です。具体的には、同機構の下部組織である自賠責損害調査事務所が等級の認定を行うことが原則です。

 

 

5、むち打ち症(外傷性頚部症候群)が、後遺障害14級9号に認定される要件

(1)むち打ち症に対する損害保険料率算定機構の等級認定には、3種類の対応があります。

  (a)12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」

  (b)14級9号「局部に神経症状を残すもの」

  (c)非該当(後遺障害として認められないもの)

このうち、(a)12級13号と(b)14級9号を区別する基準は、他覚的所見の有無です。他覚的所見とは、患者本人以外の者(通常は医師)が客観的に認識することのできる症状のことです。他方、本人にしかわからない場合を指す言葉が、自覚症状です。他覚的所見は、レントゲンなどの画像で損傷部位が確認できるケースが典型的ですが、それら画像所見だけでなく、各種症状から医学的に異常が認識できる場合も含みます(神経学的異常所見)。

さて、12級と14級の区別よりも、(b)14級9号と(c)非該当の区別のほうが、深刻とも言えます。非該当となれば、少なくとも、その段階では、後遺症を対象とした賠償金は支払われないからです。そこで、以下では、14級と非該当の区別について説明します。

 

(2)損害保険料率算定機構の調査事務所における14級9号認定要件

同機構が、14級9号と認定するむち打ち症の条件は、次のとおりです。

「外傷性頚部症候群に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見から証明することはできないが、受傷時の状態や治療の経過などから、連続性、一貫性が認められ、説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。」

以下に、これを分けて説明します。

①神経学的検査所見や画像所見から証明することはできない症状

これは、前述の12級13号との区別を明らかにしています。神経学的検査所見や画像所見から証明することができる場合、つまり他覚的症状は、12級13号となるのが原則です。14級9号の対象となるのは、自覚症状だけの場合です。

②受傷時の状態から説明可能な症状

受傷した時、つまり事故時の状況から、医学的に説明が可能な症状であることが必要です。例えば、軽くバンパーにあたった、こすれた程度であったり、ドアミラー同士がぶつかったという事案では、常識的に考えても、医学的に考えても、むち打ち症を生ずることはないだろうという判断です。したがって、軽微な物損事故からは、14級9号は認められません。

もちろん、これは車対車のケースであって、車対歩行者、車対二輪車、自転車など、物理的に弱い衝撃であっても、深刻な症状を引き起こすことが稀でない形態にはあてはまりません。

③治療の経過から連続性、一貫性が認められ、説明可能な症状

むち打ち症は、事故後、数時間後から痛みなどの症状が出てきます。そして、その発症時点が最も症状が重い状態であり、治療と共に症状は軽くなってゆきます。

この一般的な経過と異なる治療経過、症状の経過は、医学的に説明可能でない症状、故意に誇張した自覚症状とされるのです。

次のようなケースがあります。

・事故後、相当期間を経過してから、はじめて病院を受診した場合

・治療の途中で、症状が悪化した場合

・診療の途中から、当初はなかった新たな症状が現れた場合

・治療に中断期間がある場合

これらのケースは、いずれも上記の一般的な経過と異なったルートを辿っており、当初の症状とその後の症状に連続性、一貫性が欠けています。

それぞれ、何故、そのような特殊な事態が生じたのかにつき、説得力ある説明、証明がなされるならば問題はありません。例えば、事故後、痛みがあったが、他者ではできない重大な仕事を抱えていたために初診が遅れたとか、事故により、むち打ち症よりも、もっと重大な傷害(重度の骨折や臓器損傷など)があったため、その手術等が一段落してはじめて、むち打ち症の症状を自覚したなどの場合は、それが証明できれば、後遺障害と認められる余地があります。

尚、ネット上には、治療中の通院回数が一ヶ月で何回以上でなくてはならないなどという意見が掲載されている場合があります。なるほど通院回数は、痛みの存在を裏付ける判断資料なので、頻度が多ければ、後遺障害認定に有利であることは確かです。しかし、他方で、通院回数は、被害者の年齢や職業、居住地と医療機関の地理的条件など、症状外の要因によっても影響を受けやすいので、回数を絶対視できません。そもそも通院治療は、傷害を治すために行うものです。後遺障害等級認定を受けるために、足繁く通院しなさいなどという指導を行うことは、本末転倒です。

尚、整骨院、柔道整復師、はり、きゅう、あんま、マッサージ、カイロプラクティックなどの医療機関外での治療は、それだけでは後遺障害等級認定を受けることは事実上不可能です。これらは、「医療類似行為」とされ、医師の行う治療行為とは画然と区別されているからです。(後遺障害等級認定手続は、大量の案件を、ある程度、定型的に処理するシステムですから、これらの行為では等級認定されないという問題は、これらの行為に治療の効果があるか否かという本質的な問題とは無関係です。)医療機関外での治療は、医師の指示書に基いて行うか、少なくとも医師の治療と並行して行うことをお勧めします。

④単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されること

「故意の誇張」とは、被害者本人が、自覚症状を真実よりも大げさに、かつ、大げさであることを本人が認識しつつ、訴えている場合です。これを、被害者本人のキャラクターの問題として説明しているサイトがありますが、全くの間違いです。「故意の誇張」か否かは、受傷時の状況、治療経過などの連続性、一貫性から、医学的に説明がつく症状であると認められるか否かによって判定される(説明がつくならば、真実と推定される)のであって、本人の表現が大げさであるとか、強引な性格であるとか、高額の賠償を要求しているなどの本人の属性は判断材料ではありません。もちろん、非常識と言わざるを得ない態度の被害者本人も存在しますが、そのような場合は、保険会社側は弁護士に対応を任せるだけです。保険会社とは別個独立の団体である損害保険料率算定機構が算定する等級認定に影響するはずはありません。通院にタクシーを利用すると、後遺障害と認定されないなどという誤った情報を掲載しているサイトもありますが、これも間違いです。必要のないタクシー利用であれば、通院交通費の支払いが認められないだけのことです。

 

 

6、後遺障害等級認定と弁護士への委任

さて、以上に説明した、むち打ち症の後遺障害等級認定の条件は、あくまでも損害保険料率算定機構が等級認定する際のものに過ぎません。自賠責保険も任意保険も、同機構が認定した等級にしたがって保険金を支払いますが、同機構に最終的な決定権があるわけではありません。後遺障害の有無と程度についての最終的な決定権を持ってるのは、裁判所だけです。同機構の認定は、今では、中立性に信頼が寄せられ、一定の合理性もあるので、実務では、その認定は尊重されます。しかし、その等級認定の審査は、ほとんど診療記録だけに基いて行われるもので、裁判所のように、弁護士を通じて集められた当該事故の全証拠に基き、被害者本人の話を直接に聞いた上で判断するとは異なります。等級認定は、あくまでも書類に基づく審査に過ぎないのです。このため、等級認定において認められなかった後遺障害が、裁判所によって認められる例は珍しくはありません。

 

 

また、このように考えると、同機構の等級認定の段階から、弁護士を通じて証拠を収集し、等級認定の資料として提出するほうが、有利な判定を得やすく、時間的にも節約となる可能性が高いのです。

その意味でも、交通事故に遭遇してしまったら、まず弁護士に相談してみることが最上の選択であると言えます。

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