後遺障害事例

手根骨(しゅこんこつ)の骨折 月状骨脱臼(げつじょうこつだっきゅう)

手首の付け根の骨は、手根骨(しゅこんこつ)と呼ばれています。手根骨(しゅこんこつ)は、8個の小さな骨で構成されています。

月状骨(げつじょうこつ)は、手根骨(しゅこんこつ)の1つです。下のイラストの「月」と書いてある部分が、月状骨(げつじょうこつ)です。

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月状骨(げつじょうこつ)の脱臼は、手根骨脱臼(しゅこんこつだっきゅう)の中でも圧倒的に多いと言われています。脱臼とは、関節が外れて骨が正常な位置からずれてしまう状態のことです。

 

月状骨(げつじょうこつ)の脱臼は、「月状骨周囲脱臼(げつじょうこつしゅういだっきゅう)」とも呼ばれます。

 

 

(1)原因

多くの場合、月状骨(げつじょうこつ)が手のひら側に突き出すように脱臼します。手のひらをついて転倒した際に脱臼することが多い、と言われています。

 

(2)症状

月状骨(げつじょうこつ)を脱臼すると、疼痛(とうつう)や圧痛(あっつう)、運動制限、腫脹(しゅちょう)を発症します。

XP(レントゲン)を撮影すると、月状骨(げつじょうこつ)が90度回転していることが分かります。

ただし、月状骨(げつじょうこつ)を脱臼しても、月状骨(げつじょうこつ)と橈骨(とうこつ)の位置関係は正常なまま保たれるので、医師が診断しても月状骨(げつじょうこつ)の脱臼に気が付かないことがあります。

手のひらに痛みを感じている場合は、早期に専門医を訪れて診断をしてもらいましょう。専門医によってCT(スキャン)やMRIで検査してもらえば、月状骨(げつじょうこつ)の脱臼を発見できる可能性が高くなります。

なお、脱臼の態様によっては、手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)を生じることがあります。手根管(しゅこんかん)とは、手首の骨と靭帯(じんたい)に囲まれた部位のことです。

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)を発症すると、手の平から親指にかけて痺れ(しびれ)や痛みを伴います。

 

(3)治療

徒手整復(としゅせいふく)が治療の中心となります。徒手整復(としゅせいふく)とは、脱臼によってずれた骨を元の位置に戻すことです。手術を行わず、素手によって骨や関節を動かします。

徒手整復によっても骨が正常な位置に戻らない場合は、手術を実施します。多くの場合、観血的靭帯縫合(かんけつてきじんたいほうごう)が行われます。

観血的靭帯縫合(かんけつてきじんたいほうごう)とは、脱臼した部分を切開して、転位した骨を正常な位置に戻したうえで、ワイヤーで固定して靭帯を縫合するという方法です。

 

(4)専門医の受診

月状骨(げつじょうこつ)を脱臼すると、ピリピリとした弱い痺れ(しびれ)や痛みを感じます。小さな痛みであるため、被害者自身が「気のせいかもしれない」と考えて、医師に痛みを伝えないことがあります。

お医者さんに痛みを伝えた場合であっても、XP(レントゲン)では月状骨(げつじょうこつ)の脱臼を確認できないことがあるため、お医者さんであっても脱臼に気が付かないことがあります。

このため、医師に痛みをうったえても、「軽い痛みなのでしばらく様子を見ましょう」と言われて、脱臼が放置されることがあります。耐えられないほどの激痛ではないため、医師から「様子を見ましょう」と言われると、被害者自身も納得してしまいます。

このように、脱臼が見逃されるケースは珍しくありません。数ヶ月が経っても痛みがおさまらないことが判明すると、ようやく手外科の専門医を紹介されて、脱臼が発覚するという流れになります。

 

 

 

月状骨(げつじょうこつ)の脱臼を発見するまでに数ヶ月もかかってしまうと、後遺障害の申請の際に不利になるおそれがあります。「本当に交通事故によって脱臼したのか」という点を疑われてしまうからです。

「交通事故によって脱臼した」ということを立証することができなければ、損害賠償金を請求することはできません。これを「因果関係」と言います。脱臼を発見するまでに数ヶ月もかかってしまうと、因果関係の立証が難しくなります。

脱臼を発見するまでに数ヶ月もかかってしまうと、「病院で無理なリハビリを行ったせいで脱臼したのではないか」「事故の後に自分で転んで手首をぶつけたのではないか」など、様々な憶測が飛び交ってしまいます。

適切な損害賠償金を獲得するためには、このような憶測を払拭(ふっしょく)するような論理的な立証を行わなければいけません。通常のケースよりも難しい立証となりますので、このようなケースは交通事故に精通した弁護士にご相談することをお勧めいたします。

以上のようなリスクを避けるためには、交通事故に遭った場合には出来る限り早期に手外科の専門医を受診することが重要です。専門医に心当たりがない場合でも、主治医に相談すれば、最寄りの専門医を紹介してくれることがあります。

専門医の受診は早ければ早いほどよいのですが、遅くても事故から2ヶ月以内には専門医に診断してもらいましょう。

軽い痛みであっても、手首や親指に痛みが生じている場合は、月状骨(げつじょうこつ)を脱臼している可能性があります。親指の周囲から手首にかけて痛みを感じている場合は、できる限り早期に専門医を受診しましょう。

 

 

(5)後遺障害の等級

月状骨(げつじょうこつ)の脱臼によって可動域制限(かどういきせいげん)が残った場合は、後遺障害として申請することができます。

「可動域制限(かどういきせいげん)」とは、月状骨(げつじょうこつ)を脱臼した影響によって、手の関節を動かすことができる範囲が制限されてしまうことです。

手関節の可動域制限としては、後遺障害等級10級10号や12級6号に該当する可能性があります。後遺障害等級10級10号は非常に稀なケースです。

症状固定後に疼痛(とうつう)が残った場合は、神経症状として後遺障害等級12級13号や14級9号に認定される可能性があります。

後遺障害の等級は、症状固定時の骨の状態によって決まります。骨の状態は、手術を受けるかどうかによって大きく変わります。

そのため、医師から手術を提案された場合は、慎重に検討しなければいけません。手術を受けるかどうかによって、後遺障害の等級が左右され、ひいては損害賠償金の金額も大きく増減するからです。

個別の症状によって異なりますが、手術を行わない場合は、後遺障害等級12級に認定される可能性があります。一方で、手術を行った場合は、後遺障害14級に認定されるか、非該当となる可能性が高くなります。

後遺障害等級が12級か14級かによって、損害賠償金は大きく異なります。個別事案によって金額は異なりますが、弁護士が交渉した場合は、後遺障害等級14級のケースではおよそ250万~300万円程度、12級であればおよそ500万~1,000万円程度の賠償金額となる可能性があります。

つまり、手術を行わずに早期に症状固定とした方が、損害賠償金が高くなる可能性があります。もちろん損害賠償金が高くなるかどうかは具体的ケースによって異なりますので、全ての方が手術を行わない方が良いというわけではありません。

 

手術を行うかどうかは、重要な問題です。主治医と十分にご相談したうえで、慎重に決定してください。

手術を行ったことによって症状固定の時期が遅くなると、後遺障害の審査の際に不利となる可能性があります。一方で、手術を行わずに症状固定の時期を早まってしまうと、治るはずの症状が十分に改善しないかもしれません。どちらを選択するべきかは、個別の症状によって異なります。

主治医と相談しても決断できないとお悩みの方は、福岡のアジア総合法律事務所にご相談ください。当事務所では、治療中の方からのご相談も承っております。弁護士が個別の症状をお聞き取りしたうえで、症状に即して法律的なアドバイスを行います。アジア総合法律事務所では、福岡のみならず、九州、全国からご相談やご依頼を受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。

手術を行うべきかどうかは、被害者の症状によって異なります。お悩みの方は、主治医や弁護士と十分にご相談したうえで、慎重に判断しましょう。

 

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